認知症患者の増加に伴って、認知症について正しい理解と知識を持ち、介護に関わる人の需要が高まってきており、認知症に関する様々な資格制度が登場してきています。
認知症ライフパートナーという資格その中で生まれてきた資格の一つです。
今回は認知症ライフパートナーの取得方法について、受験資格やかかる費用、難易度などについて解説します。
目次
認知症ライフパートナーについて
認知症ライフパートナーは、一般社団法人日本認知症コミュニケーション協議会が認定している民間資格です。
以前は基礎検定と応用検定の2種類があり、誰でも試験に合格すれば資格を取得することができたのですが、2016年に試験制度が変更され、現在では3級(旧基礎検定)、2級(旧応用検定)、1級(新設)という3つの級が設けられ、1級検定には受験資格も設置されました。
認知症ライフパートナー資格の目的
認知症ライフパートナーの目的は以下の通りです。
「認知症の人に対して、これまでの生活体験や生き方、価値観を尊重し、日常生活をその人らしく暮らしていけるように本人や家族に寄り添い、サポートできる人。」
認知症の人は症状が進行するにつれて言葉によるコミュニケーションが困難になっていきます。
そのため認知症の人に対しては非言語のコミュニケーションや音楽などのアクティビティが大きな意味を持ちます。
認知症ライフパートナーは、非言語コミュニケーションなどにより、認知症の方が過去の経験を踏まえたうえでその人らしく活躍していけるように、本人やその人の家族をサポートしていくことが役割となります。
認知症ライフパートナー検定に合格するメリット
認知症ライフパートナー検定は2009年に始まった比較的に新しい資格です。検定試験に合格して得られるのは民間団体が認定している民間の資格です。
そのため履歴書に書いたからといって評価される、施設等で給与が大きくアップするなどの効果はほとんど望めません。
(1級の合格者に限っては優遇される施設が出てきています。)
しかしながら受験勉強をすることで認知症に対して正しい理解と知識が身につくうえ、アクティビティケアの実践的な知識も得られるというメリットがあります。
また、他の認知症関係の資格と違い、一度検定試験に合格すればその後は更新の必要がありません。
初めて介護関係の資格をとろうと考えている人にはおすすめです。
以下では認知症ライフパートナーの取得方法に関して解説していきます。
認知症ライフパートナーに受験資格はあるの?
介護関係の資格には実務経験や学校に一定期間通うことが必要な場合が多いですが、認知症ライフパートナーの2級検定と3級検定には設定されておらず、誰でも受験をすることが可能です。
また3級検定と2級検定は併願受験をすることも可能です。
1級検定の取得方法につきましては「2級に合格している事」が受験資格として設定されています。
認知症ライフパートナーの取得方法と費用について
認知症ライフパートナー3級の取得方法と費用について
認知症ライフパートナー3級の取得方法を解説します。
3級の受験費用は5500円です
テスト方式はマークシート方式で、試験は2時間です。
法覚基準は100点満点中70点以上です。
「認知症ライフパートナー検定試験3級 公式テキスト」から以下の範囲が出題されます。
- 認知症とは
- 認知症の理解とケアの基本
- 認知症とコミュニケーション
- 認知症とアクティビティ
- 認知症ケアに関する社会資源
- 認知症に関する相談機関
3級の公式テキストの費用は3024円となっています。
認知症ライフパートナー2級検定の取得方法と費用について
認知症ライフパートナー2級の取得方法を解説します。
2級の受験費用は8800円です
テスト方式はマークシート方式で、試験は2時間です。
合格基準は100点満点中70点以上です。
「認知症ライフパートナー検定試験2級公式テキスト」から以下の範囲が出題されます。
- 認知症の主な疾患と特徴
- 認知症の理解と対応
- 認知症の予防と対応
- 認知症と生活習慣
- かかわりのためのコミュニケーション
- アクティビティの種類と活用
- 認知症高齢者と居住環境
- 地域資源・制度の活用と連携
- 認知症に関する相談機関
3級と比べると認知症に関する実践的な知識が要求されます。
2級の公式テキストの費用は4860円です。
認知症ライフパートナー1級の取得方法と費用について
認知症ライフパートナー1級の取得方法を解説します。
1級の受験費用は12000円です
1級検定では前半と後半に分かれています。
前半はマーク方式が2時間、後半は記述方式が2時間で設定されています。
合格基準は100点満点中70点以上です。
「認知症ライフパートナー検定試験1級公式テキスト」の内容から中心的に出題されますが、テキスト以外からも出題があり、専門的で実践的な知識が求められます。
- 認知症ケアの基本理念
- 認知症の方の主な疾患と心理的特徴
- 認知症の人と地域包括ケア
- 認知症予防と運動
- 暮らしの中の認知症予防とアクティビティケア
- アクティビティプログラムの立て方
- アクティビティケアの実践と立案と進め方
- 認知症に関わる制度の理解と活用
- 高齢者、認知症の人の居住環境
3級2級以上に認知症ケアの指導の役割まで意識した内容になっており、認知症の人だけでなく周りの家族への包括的なケアまで問われます。
2級に合格していれば受験できますが、難易度が非常に高い試験となっています。
1級の公式テキストの費用は5832円です。
申し込み方法は?
受験する級などを決めたら申し込みの手続きをします。
試験の申込先は日本認知症コミュニケーション協議会です。
申し込み手順は日本認知症コミュニケーションの公式サイトを参照にしてください。
おわりに
以上、認知症ライフパートナーの取得方法や、費用、難易度について解説しましたがいかがだったでしょうか。
認知症ライフパートナーは身体的なケアだけでなく、精神的なケアまでが必要な際に非常に役に立つ資格といえます。
日本において今後需要が増加していくと予測される認知症ライフパートナー。介護関係の方々は早めに取得しておいて損はないと思います。