重度の肢体障がいを持つ方々への訪問介護をより専門的におこなうために、重度訪問介護従業者という資格が注目され始めています。
障がい者を対象とした介護従業者が不足している現状、この資格を取得することで福祉業界への就職が有利に働くかもしれません。
この記事ではそんな重度訪問介護従業者について、その取得方法を中心にご紹介したいと思います。
目次
重度訪問介護従業者とは?
重度訪問介護従業者とは、重度の肢体不自由者にむけた介護サービスを提供するための資格です。
- 二肢以上に麻痺がある方
- 歩行・移乗・排尿・排便のすべてに、支援が不要以外で認定されている方
上記に当てはまる方が、重度の肢体不自由者になります。
重度訪問介護従業者の仕事内容について
- 洗面や排泄
- 車椅子への移動
- 身の回りのお世話
- 利用者のことを見守り
- 援助が必要なときのために周囲で待機
上記の内容が主な業務のです。
重度訪問介護従業者の特徴は、介護対象者を限定していることで、より専門的な知識を得ることができるという点にあります。
そのため、障害のある方々に対応する際により実践的な対応ができるようになります。
実際に就業した場合には、その業務内容や介護の必要性から、長時間での勤務が必要となっているため、8時間単位での報酬が支払われることが多くなっています。
介護業界で働くなら取得は必須!?
この重度訪問介護従業者は、訪問介護をおこなううえで必ず必要な資格ではありません。
重度訪問介護の事業所として必要である2.5人以上のヘルパーが必要と定められています。
この2.5人は介護福祉士か介護職員初任者研修の資格を持っている、もしくはこの重度訪問介護従業者養成研修を終了している必要があるため、比較的重宝されるといえるのではないでしょうか。
これらのことから、近年では注目の集まっている資格であるといえます。
重度訪問介護従業者の資格の取得方法
資格の取得方法についてご説明します。
重度訪問介護従業者には試験というものはありません。
専用の「重度訪問介護従業者養成研修」という研修を修了すれば取得できます。
では、その「重度訪問介護従業者養成研修」のカリキュラムについてご説明したいと思います。
この研修には持っている資格などによる受講資格は設けられていません。
重度訪問介護に従事したいという意志を持つ方なら誰でも受講することができます。
重度訪問介護従業者を取得する際の研修について
研修の構成としては、基礎課程と追加過程に分かれています。
基礎課程は講義が3時間、実技が7時間設けられており、主に基礎的な介護やコミュニケーション、また外出時に必要な介護について学びます。
この基礎課程をクリアすることにより、障害程度区分が3~5の方に介護サービスを提供できるようになります。
そしてこの基礎課程を修了すると、追加過程を受講できます。
追加過程は講義が7時間、実技が3時間で構成されており、基礎課程で学んだ知識を深めると共に、医療的な対応が必要とされる場面や介護における緊急時の対応について学びます。
また実技では実際に重度介護が必要な方々に向けた実習をおこないます。
また、これらのカリキュラムについては自治体により多少異なる場合がございます。
以上の過程を終了することが重度訪問介護従業者の資格取得方法となっています。
受講・試験かかる費用について
取得にかかる費用は受講する教室によってさまざまです。
かなり幅はありますが、およそ12,000円~30,000円程度となっています。
この違いは重度訪問介護従業者養成研修が自治体で開催されているものなのか、介護資格の取得のためのスクールによって開催されているものなのかというところです。
自治体の開催している研修のほうが費用は抑えられますが、スクールには就職支援のサービスなどの付加価値がついている可能性もあるので、ご自身にあった受講スタイルを事前に調べるようにしましょう。
資格を取得することのメリット
重度訪問介護従業者は、重度な障害を持った方に限定したものであるために、いまだに知名度は低いです。
しかし、重度訪問介護特定事業所の人材要件加算対象となっているため、就職にも有利に働く可能性があります。
また、実際の業務においても専門的な知識とともに、重度な障害を持つ方と接するための心構えなどを一から学ぶことができるので有用であるといえます。
取得方法をみても、数日間の研修によって確実なスキルアップを望むことができるという点で魅力的です。
重度訪問介護従業者は取得して損のない資格!
現在では、要介護者においてもできる限り自立し、住み慣れた環境で生活することが心身両方での健康のために望まれている傾向にあります。
その点において、重度訪問介護従業者はますますニーズが増えていくと考えられます。
また、福祉業界全体で人材不足が叫ばれていますし、その対策として働き方や給与の制度改善についても注目が集まっています。
さらに、すでに福祉業界で働いている方にとってもオススメです。
ご自身のスキルアップや、キャリアプランのために取得を考えられてはいかがでしょうか。