医療事務は、再就職しやすい・専門的・なりやすいということで、女性に高い人気を誇っています。テレビCMなどでも医療事務に転職・就職に役立つ資格取得講座が盛んに宣伝されていて、名前を聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。
しかし、医療事務の仕事は実際どうなのかは詳しくはわからないですよね。今回は医療事務の給料・仕事内容・メリット、デメリット・資格についてを1から10まで全て教えます。
目次
医療事務の仕事内容とは?
医療事務の仕事内容は、受付業務・会計業務・レセプト業務・クラーク業務に分けられます。
受付業務
皆さんが一番良く目にする受付の方がしていることが受付業務です。
患者さんが来院したら、まず保険証を確認し医療保険資格の確認にします、その後診察券を確認し以前の治療記録を確認し、診察室まで案内します。
初診の場合は、預かった保険証を元にカルテを作成します。他にも地方自治体によって、別途補助金を用意していれるところもあるので、それの確認をします。
会計業務
診察が終わるとカルテが診察室から受付へと戻ってくるのでカルテから診療内容を確認し、合計金額を計算して会計を行います。
レセプト業務
私たちが医療機関で保険証を提示して診察を受ける場合、その診察費は患者さんが全額負担するわけではなく3割負担ですよね?残りの7割を保険者(健康保険組合等)に請求することになります。
そこで医療機関が保険者に対して請求する明細書が「レセプト」です。
正確には診療報酬明細書といいます。
保険診療では、診察の内容によって報酬の料金がすべて点数化されているので、医療事務は診療報酬点数表を利用しながら、一人ひとりの診療行為をまとめて、合計の点数を計算します。
その作成したレセプトを「社会保険診療報酬支払基金」か「国民保険団体連合会」の審査支払機関に提出をします。
この業務がレセプト業務です。
クラーク業務
クラーク業務は「外来クラーク」と「病棟クラーク」に分けることができます。外来クラークの仕事は、患者さんと医師、看護師との間の間を取り持つ役割です。具体的な仕事としては、受付業務・電話応対・患者さんの呼び出し、カルテやレントゲンの準備、検査データの準備などがあります。
病棟クラークの仕事は医師や看護師をサポートすることです。病棟クラークは医療関係者の仕事をサポートすることで業務を効率化するにあたり大切な役割を担っています。仕事内容は、電話対応、入院の受付、病室手配、患者の名簿作成、カルテ管理、患者の食べ残しチェック等さまざまです。診療に使用する器具の準備や検査の準備など看護助手に近い仕事も仕事をすることもあります。
医療事務の1日の流れ
大体の仕事がわかったところで1日の仕事内容を見てみましょう。
開院前の仕事
朝はチェック事項が多いので意外と忙しいです。
- 院内の清掃
- 掲示物のチェック
- 予約状況のチェック
- 連絡事項の共有
- レジの準備
- 開院
午前の部
診療が開始すると、日常的の流れを繰り返していきます。開院と同時に多くの人がくるのでスピーディーな対応が必要です。
- 保険証の確認、診察の受付
- 問診票を渡し、記入してもらう
- 患者のカルテ作成
- 診察室への案内
- 会計
休憩時間
もちろん、お昼を食べる時間ですがそれ以外にも仕事はあります。
- レジチェック(つり銭の確保、精算機への現金の補充)
- 患者の落とし物・忘れ物の管理などその他雑務
午後の部~診療終了
午前と流れは基本同じです。最後にレセプトの作成が加わります。
月末から翌月10日にかけて提出期間になるので忙しく残業になりやすいです。
- 午前と同じく患者の対応
- レセプトの作成
- 会計チェック
- 清掃
医療事務のメリット・デメリット
医療事務の仕事内容のあとは、医療事務という仕事を行うにあたってのメリット・デメリットについて紹介します。
メリット
産休・育休がとれる
女性が多い職場というのもあって、産休・育休はとても取りやすい環境となっています。大きな病院であれば、託児所を併設していることもあるので子育てしながら働くのにとても適しています。
休日が固定である
病院で毎日営業しているところはないので休みの日は確実にあります。ただ、病院によって休みの曜日が連続してないこともあるのでそこは注意ポイントです。
求人数が多い職場が近い
全国どこへ行っても人がいるところには病院があります。ですので、正社員・派遣・パートなど働き方にこだわりがなければ、医療事務の募集はどこでもあります。よって、職場探しに困ることはほとんどないです。また、病院やクリニックは住宅街の中にあることが多く自宅の近くで働けることが多いのもメリットです。
年齢に関係なく働ける
病院にもよりますが、患者さんへの対応に慣れている経験が豊富な方を採用したいと考えているところもあります。ですので、経験を重ねても働きやすいメリットところがメリットです。
働く時間が自由
正社員ではなく、アルバイト・パートなどを選んだ場合シフト制の場合が多く子供がいない午後だけ、週に3日だけなど自分の生活スタイルに合わせて好きな時間に働くことができます。子育て中の方や隙間時間に働きたい方にはオススメです。
未経験でも働ける
医療事務の仕事の中でもっとも多い仕事が接客業務です。具体的には受付業務、会計業務になります。そこでは、患者さんとのコミュニケーション力が大事になってくるので、接客業の経験がある人が歓迎されやすいです。ですから、接客経験がある人は医療事務の仕事が、就職先・転職先・再就職先の候補の一つとして考えておくのもよいかもしれません。
デメリット
給料が高くない
医療事務の仕事は給料は高くありません。他の一般事務職と同じくらいの水準です。
ですので給料が低いというわけではないですが、高い給料を求める方にはあまり向かない仕事となっています。
休みがとりづらい
小さなクリニックであったりすると、雇っている人員が必要最低限で休みが取りづらいこともあります。ですので、面接を受ける際は現在どのくらい働いているひとがいるのか、休みはどのくらいとれるのか確認したほうが良いです。
医療事務の給料はどのくらい?
医療事務のことがいろいろわかってきたところで、気になる方が多い給料について紹介したいと思います。
医療事務の給料は、大学病院か、個人病院または調剤薬局など医療機関の種類によって異なりますし、その病院が儲かっているかどうか、地域でも違ってきます。
平均的な初任給は以下の通りです。
医療事務の平均年収
初任給
月収 | 年収 | |
高卒 | 15万円 | 180万円 |
大卒 | 19万円 | 228万円 |
業種別の初任給
月収 | 年収 | |
大学病院の医療事務 | 17~20万円 | 249万円 |
クリニック病院の医療事務 | 16万円~ | 201万円 |
となっています。
年代別の医療事務年収相場
年代 | 平均年収 |
20代 | 268万円 |
30代 | 303万円 |
40代 | 399万円 |
医療事務全体 | 292万円 |
正直、高くはないですよね。ただ、役職があがると年収が700~800万円になることもあります。しかし、医療事務全体の1%しかいないので相当狭き門となっています。
しかし、医療事務にも良い部分はあります。
医療事務の給料相場は大卒も高卒も大きな違いはない
一般的な職業では、就職時に大卒なのか高卒なのかというのは、その先の給料の金額に大きく関わります。一般的に、大学を卒業してから就職した人のほうが大学を卒業していないで就職した人よりも給料が多く、年数が経てば経つほどにその差は大きくなりますよね。 しかし、医療事務は、大卒で就職しても高卒で就職しても給料に差は少ないです。長年勤務していると、比例して大卒者と高卒者の給料の金額の差が大きくなることはなく、むしろ差が縮まりほとんどなくなります。
22歳 | 35歳 | 50歳 | |
高卒 | 182,662円 | 267,714円 | 349,769円 |
大卒 | 157,439円 | 258,266円 | 355,803円 |
ですので、この仕事は学歴よりも経験や技術が給与に反映されやすいといえます。
医療事務に必要な資格はあるの?
医療事務は、資格がなくても働くことは可能です。ただ、大きい病院での就職や給料のアップを望んでいるかたは、取得を目指すことをオススメします。
医療事務試験の特徴
- 国家資格ではない
- 種類が多い
- 簡単なものが多い
医療事務の資格はすべて、民間資格となっています。しかも、種類が多く35以上あります。よって、どれを受ければよいかわからないという方が多いです。更に残念なことに資格をとっても意味がほとんどないものもあります。ですので、ここでは医療事務の資格をとるならこれ!というものを紹介したいと思います。
診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験とは、その名の通りレセプト業務の処理能力を測るための試験です。
試験内容は学科試験と実技試験の2つです。医科と歯科にそれぞれ試験が分かれていて難易度はかなり高く、合格率は医科が約30%、歯科が約39%です。
試験会場には、診療報酬点数表やノートなどを持ち込むことができますが、合格率は上記の用に低いです。そのため、膨大な資料からすばやく目的の項目を参照する必要があります。ですので、スムーズにタスクをこなすことができる能力が問われます。
この試験はレセプト業務の中で最高峰といわれています。この試験は難易度が高い試験ですが、そのぶん合格すれば就職しやすかったり、就職先で優遇されたりすることが多いようです。
医療事務は初心者や子育て中の方にオススメの仕事
医療事務は、資格がなくても働け、多くの方が経験している接客の技術を活かせる仕事です。
バイトとして入社した場合はシフト制なので子育て中の方にピッタリですし、社員として入社したとしても女性が多い職場なので、産休や子供の行事で休むことに対しての理解度も高いので非常にオススメです。
月末から翌月の10日までのレセプト請求期間や患者さんが多くなる冬場を除けば、基本残業はありません。
給料は確かに高くないですが、自分の生活にあった働き方ができるのでぜひ医療事務の仕事を考えてみましょう。