ベテラン介護福祉士へ月8万円給付の真相を調査!

ベテラン介護福祉士へ月8万円給付の真相を調査!

2017年12月、勤続10年以上の介護福祉士に月8万円の賃上げがおこなわれると閣議決定されました。

介護福祉士に明るいニュースかと思いきや、給付には厳しい条件があります。このページで加算案の真相をわかりやすく紹介していきます。

なぜ月8万円の賃上げの加算案は閣議決定されたのか!

今の政権は、「1億総生産社会」をテーマに掲げていて、その中に「介護離職ゼロ」も目標として含まれています。

2兆円の新しい経済制作パッケージを決定し、その中の約1,000億円を介護職の賃上げに使うそうです。

今現在、年間10万人にも及ぶ介護離職をゼロにするためには、被介護者を介護施設に預けることができる環境が必要であり、そのためには不足している介護福祉士を、待遇充実を行うことにより増やさなくてはなりません。

すでに、処遇改善加算によって、月最大3万7000円の賃上げはおこなわれていますが、介護士の離職率をより下げるためにさらに大きな賃上げに踏み切ったとされています。

縮小している介護業界の今の状況

介護業界はどんどんと縮小していて、その背景には介護福祉士の減少があります。

介護福祉士の受験者は、2015年には約16万人いたものの翌年の2016年には約8万人とたった1年で半減してしまいました。

主な原因は、介護福祉士試験の受験資格を取得しづらくなり、実務者研修を半年以上も自腹で行わなくてはなりません。

資格に合格しなくても介護職にはつくことができるので、わざわざ自費で研修を受け、介護福祉士の資格を取る必要がないと考える人が増えてしまったと考えられます。

それに加え、施設側における介護職員や訪問介護員の採用率も低下しているため、介護現場はますます人手不足に拍車がかかるとみられています。

介護業界に対して、「採用率が低い」、「離職率が高い」、「仕事がきついのに給料は少ない」といったイメージが付き敬遠されてしまったのも、これらの問題があると言われています。

このことは介護業界について少し調べ ればわかることであり、政府も待遇を改善し介護業界に関心を持ってもらおうという方針なのでしょう。

この加算案の最大の問題点

このような介護業界の縮小を防ぐために加算案は有効なのではないか、と今読んだ時点では思うかもしれませんが大きな問題点があります。

まず、この賃上げの対象となりお金がもらえる介護士がほとんどいないという点です。

厚生労働省の調べによると、介護福祉士の平均勤続年数は6年で、勤続10年以上の介護福祉士は少ないというのが現実です。

さらに、この8万円の賃上げは、介護業界に長く勤めている介護福祉士にとっては報われるかもしれませんが、一度介護の仕事をに就こうと検討し、資格をまだとっていない潜在的な介護福祉士には意味がない政策になっています。

つまり、今勤めている介護福祉士の離職は防げる可能性はありますが、介護福祉士そのものを増やせる可能性は低いと考えられています。

支給額すべてが介護福祉士の収入になる?

この条件を満たし、支給された8万円はすべて介護福祉士の収入になるのかいう問題も生まれてきます。

この月8万円の賃上げは国から支給された後、まず介護事務所に入り、事務所の判断で各介護福祉士にどの程度の賃上げを行うかが決定されます。

つまり、勤務先により給料が異なる場合があり、その事業所での勤務年数や雇用形態、どのように評価されているかにより、賃金が大きく変わることも考えられます。

そのため、事業所が給料を決めることには変わらないため、仮に事業所の経営が思わしくなければ賃上げはわずかにとどめられてしまうことも考えられます。

さらに、仕事内容に関わらず10年勤務すれば誰でも対象になってしまうという問題点もあります。

介護業界を盛り上げるためには

介護業界を盛り上げるためには、まずマイナスイメージの払拭が必要だと考えられます。

厚生労働省が行った調査によると、介護職のイメージは「きつい仕事だと思う」が約65%、「給料水準が低い」が約54%、「先行きが不安」が約13%となっています。

「やりがいがある」などの肯定的なイメージもあるものの、マイナスイメージが先行しており、介護職に就きたがる人が少ないという現状が浮き彫りになりました。

実際の現場でも同じく厚生労働省が調査を行っており、介護職の離職理由として、「結婚・育児・出産」が約32%、「運営方針に不満」が約25%、「人間関係の不満」も同じく約25%となっています。

介護の仕事は圧倒的に女性が多いのと、人手不足が相まってワークライフバランスが崩れてしまい辞めてしまうとみられています。

それに加えて、施設の方針や人間関係といった職場環境の不満がきっかけとなり、離職してしまう人もいます。

離職理由として給料の少なさを挙げた人は23.5%で第4番目となっています。

これらの離職理由を解決できれば、定着率が上がる可能性はあります。

ワークライフバランスや職場環境、収入の問題を今回の施策で解決することができれば介護業界を盛り上げることができるでしょう。

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